アポロニア21

Vol.36 脳科学と歯科医療の融合

私が学生時代、「眠くなったら歯をみがけ」と先輩から教えられました。歯みがきすると頭がすっきりして眠気が治まるとのことで、当時は俗説だろうと思っていました。しかし、近年、急速に進歩している脳科学の成果によって、これに学術的な裏づけがあることが分かってきました。

国際的な脳科学者で脳外科医の加藤俊徳氏らの研究グループは、咀嚼、歯みがきと脳機能との関係について、MRIや独自の脳酸素消費量測定システム(COE)によって実験を繰り返しています。その結果、噛み合せを整えた上で、ガムを噛むなどの咀嚼運動をすると、直後から脳の酸素消費が上がること、歯みがきをしても同じように脳の酸素消費が上がることが示唆されています。脳の酸素消費量は、脳が機能していることを示す客観的 な指標です。また、口呼吸を止めて鼻呼吸の習慣をつけると、脳の機能も向上することが分かってきました。咀嚼機能改善、口呼吸習慣の抑制などは、本来、歯科医療の領域です。しかし、多くの歯科医師は、これらの 機能訓練に積極的ではありません。理由としては、保険診療で報酬がないことで経済的なインセンティブが低いこと、そもそも「歯科医療とは歯を削ったり、人工物を埋めたりすることだ」と、歯科医師自身が自分たちの 業務範囲を限定的に捉えていることが考えられます。 しかし、加藤氏らの研究は、歯科治療によって噛み合せを調整したり、日々の歯みがきによって、脳を活性化させることができると証明したことになります。適切な歯科医療を受け歯を大切にすることは、今流行りの 「脳トレ」にも繋がる重要な要素なのだと言えるでしょう。

なお、学生時代、もう一つ言われていた「腹が減ったら歯をみがけ」というのは、単に歯みがき剤のミント味によって食欲が一時的に減退するためで、これにはあまり根拠がないようです


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